都立中学と私立中学は、同じような筆記テスト(検査)を受けて入学資格を得るわけです。
基礎となっている小学校での学びは同じはずなのに、どうして勉強法が違うのだろう?なぜ塾の授業コースなども分かれているのだろう?と疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、都立中学の適性検査と私立中学の多くが行っている教科型試験の勉強法の違いについてと、合格率を上げるために我が家が選択した勉強法を説明します。
適性検査の特徴についてはこちら→「都立中高一貫校の適性検査とは?求められる能力とは?」
この記事では全般的なお話を、リンク先のそれぞれの教科の記事ではさらに例題も取り上げて詳しく説明したいと思います。
教科型試験の勉強法
まずは多くの私立中学が採用している教科型試験の勉強法について説明します。
(学校によっては適性検査のような試験を採用している学校もあります。また、ここで取り上げている勉強法は私立中学受験の勉強法の代表的なものですが、記述が多い、問題数が多い、応用問題ばかりなど、学校ごとに特徴は異なり、追加でそれぞれの対策をしなければならないと考えられます。)
どんなに学校で成績が良く、教科書の内容をすべて理解していたとしても、何もせずには私立中学の教科型試験には対応できません。
なぜなら、教科書と比べてはるかに複合的で複雑な問題や細かい用語を問われる問題があるからです。
「はるかに複雑な問題なんて、どうすればいいの!?」と思うかもしれませんが、心配はいりません。
そのような問題には、「こうすれば解ける」という定番の解法が存在するものが多いからです。
例えば、算数の「つるかめ算」や「旅人算」などの特殊算と呼ばれる計算は、小学校で習ったかけ算や速さを求める式を使えば解ける問題ではありますが、複雑な条件が設定されているため、同じような問題を解いて解法を頭に入れておかないと、一から考えるのはとても大変です。
また、社会のみかんの生産地のグラフや工業地帯のグラフなどは、いくら考えても覚えていないと答えられません。
以上から考えると、出題される問題がある程度予想できる教科型試験は、あらかじめ解法を学んで対応できるようにしておくことが、最も適した勉強法です。
また、そのような解法は既に塾や通信教育、参考書などに効率よくまとめられています。
塾、通信教育、家庭学習などの学習法を選び、それぞれのカリキュラム,参考書に沿って、一から勉強することが最善の方法と言えるでしょう。
適性検査の勉強法・対策しなくても受かる?
対して、適性検査は、定番の問題と言われる問題がありません。
就職採用試験で用いられるSPIと似ています。
たとえば、辺の長さが異なる4種類の箱を倉庫に隙間なく収納するという問題や、即席で作ったゲームのルールの説明を読んで勝つにはどうしたらいいのかを考える問題、2つのグラフを見比べてどんなことがわかるかを説明する問題、などです。
ゲームはその場で誰かが考えたような聞いたこともないようなもので、グラフも社会問題や時事問題にかかわるものだけではなくハムとベーコンの売り上げなど、一度も見たことのないニッチなグラフが出てきます。予想ができません。
その場で読み取り、分析、考察するしかありません。
そのかわり、すべて細かい説明が述べられているため、用語を覚えていなくても解くことができます。
活字を読むのに慣れている子、算数的思考が得意な子、作文力のある子は勉強しなくてもそれなりの点数がとれるかもしれません。
そのため、都立中学運用が始まった初期のころは勉強せずにとりあえず受検してみる子も多かったようです。実際受かる子もいたのではないでしょうか。
現在では、対策をする子が増えたために合格最低点が上がり、対策をしないとなかなか難しいとも聞きます。
1つの能力が高くても総合点がとれないため、バランスの良い力が必要です。また、問題が長く、とにかく時間が足りません。
したがって、どんなに能力が高い子でもテスト形式に慣れることは必要だと私は思います。
さて。肝心の勉強法ですが…
定番の問題がない=類似問題が作りにくいということです。
このことは、書店で並んでいる参考書を見てもわかります。
都立中学用の学習ドリルは、参考書というより問題集となっていて、基本の解き方などではなく、過去問の羅列です。
ですので、具体的な適性検査の対策としては、 これまでに公立中高一貫校で出題された問題を解くのが最善の勉強法です。
さらに、抽象的なことを言わせてもらえるなら、さまざまな問題に対応できるように子どもの持っている力自体を伸ばすことが大切と言えます。
私が考える適性検査に必要な能力は、
です。参照→都立中高一貫校の適性検査とは?求められる能力とは?
この能力を上げることを意識して日常生活を送ることは得点アップに意味があるかもしれません。(すぐに成果が得られるものではないので、長期的に伸ばすのが良いかと思われます。)
以上を踏まえた上で私が考えた勉強法
上記の適性検査の対策を見て、過去問を解けばいいのだな。それから、基礎能力を上げればいいんだね、よしやってみよう!と行っても…
こんな壁にぶち当たるかもしれません。
「ない」尽くしですね。これでは保護者も子どももモチベーションも下がります。
どんなことにも言えるとは思うのですが、成長が見られないものほどやっていて苦しい努力はありません。
適性検査を分かりやすく例えると、なぞなぞを解くことをかもしれません。
なぞなぞには、少しの定番問題はあるものの、やはりどんなに考えてもわからないものも存在します。
絶対にすべてがわかる、と言いにくいジャンルですよね。
対策としてはいろいろななぞなぞを解いて経験を増やすしかありません…
適性検査の手ごたえはなぞなぞを解いている手ごたえと同じ感触なのです。
これは答えられたけど、本番は無理かも…といった不安が付きまといます。
というわけで、過去問の学習は置いておいて…我が家では、教科型試験の勉強を行いました。
こちらの勉強はやればやるだけ、正答率が上がる勉強です。やるのは大変ですが、達成感は確実に得られます。
例えば、旅人算の手法を覚えれば、難しい応用問題でもある程度は同様の考え方で解くことができます。
そして、教科型試験の勉強が適性検査で役に立つことも大いにあるのです。
役に立つことをまとめてみると…
さらに、教科型試験の勉強をする意味を、子どもの人生において長期的に考えると、
といった利点も考えられます。個人的にはやっておいてまったく損はないと思います。
1つ注意点があるとすれば、無理せずにやる、です。
私立中学受験勉強のデメリットはただ1つ、膨大な演習量と暗記量。小学生にとって完璧にやろうと思うとかなりヘビーです。
私立難関校を目指すのであれば、完璧を目指すしかないわけですが、都立受検が目的であれば、ある程度気楽に臨めます。
以上の観点から、 私は不要と思う部分を省いて、 教科型試験の勉強を行うことにしました。
どこに力を入れてどこで抜けばいいのかは、教科ごとの勉強法の記事を読んでいただければ、と思います。
参照:
都立中学受検に役立つ私立受験用の勉強 やるべき部分と省ける部分(国語編)(現在作成中)
都立中学受検に役立つ私立受験用の勉強 やるべき 部分と省ける部分 (算数編)(現在作成中)
都立中学受検に役立つ私立受験用の勉強 やるべき 部分と省ける部分 (社会編)(現在作成中)
都立中学受検に役立つ私立受験用の勉強 やるべき 部分と省ける部分 (理科編)(現在作成中)
まとめ
適性検査と教科型試験の勉強法の違いを何となくわかっていただけたでしょうか?
この違いは出題形式、出題傾向、求められている能力の違いが原因となって生まれる差です。
暗記する必要がない分、努力よりもその場で発揮する能力が重要視されているようにも思えます。
努力は能力自体を上げることに使え、というメッセージとも受け取れます。
適性検査で求められる能力は、社会に出たときにも必要な能力であることは間違いないので、受検対策として能力を育成することは決して無駄にはなりません。
そう信じて子どもと一緒に取り組むことで、私たち保護者も成長できると考えれば一石二鳥です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
教科ごとに詳しい違いをまとめた記事も、よろしければ読んでみて下さい。
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