以前の記事で、適性検査で求められている能力がどのようなものなのかを私なりにまとめてみました。
どのような能力なのか振り返ってみます。
小学生に要求するには、ハードすぎる内容です。大人の私もどれほど備わっているかどうか…。
簡単に身につく能力ではないでしょう。
ということは…長いスパンで能力アップをする方がいいはずです。
幼少期から楽しく日常的に養えたらそれに越したことはありません。
というわけで、幼少期、低学年からできることをまとめてみました。
この記事では、適性検査で高得点をとるために低学年のうちからできることを提案してみます。
前編では、実際に息子がやったこと、息子の得意な能力を紹介します。
文学作品でなくてもいいから、どんどん活字を読もう(読解力アップ)
読解力は適性検査で最も重要と言ってもいい能力です。なぜなら適性検査Ⅰ~Ⅲすべてに関わる能力だからです。
適性検査では、国語に相当する適性検査Ⅰだけでなく、全体において、説明の長い問題が続きます。
算数の分野の出題でも、長い長い不要な部分も多い説明から、重要な条件を読みとることが必須です。読みとることができれば即解答できる問題も存在するくらいなのです。
この能力が高いがために息子は合格できたのではないかと思うほどです。
これに対する対策としては、とにかく活字に慣れることです。
といっても、読書好きではない子にはハードルが高く感じるかもしれません。
活字を読む、というと、つい読書を連想し、有名な文芸作品だとか、課題図書だとか、堅苦しい論説文を読まなきゃ!と思いがちですが、私は活字であれば、いわゆる本と呼ばれてるストーリー性のあるものでなくても問題ないと思っています。
というのも、都立の適性検査Ⅰで読み取る文章は、人物の感情を推測するものや詩的なものは今まであまり出題されていません。
おそらく自分の考えを述べさせる作文がある都合上、論説文やエッセイなど、論理を読みとるものの方が問題を作りやすいからでしょう。
ですので、想像力や感情を読みとる物語ではなくても、何かの説明書でも十分意味はあると思います。
虫好きなら図鑑。工作好きなら作り方の説明書。運動が好きなら体操ごっこの本。ゲームが好きなら攻略本でも構いません。
ただし、絵や図だけ見ることを避け、活字での説明を読むように促すことが大切です。
幼いうちは「みて、ここに毒があるって書いてあるよ。こわいね~。他にも毒がある虫いるかな?」などと、文字から情報が習得できることに意識を向けさせましょう。
興味のある分野なら「知りたい!」という気持ちを推進力として、自分で読むようになります。
好きな物から活字の世界に誘導しましょう。
息子は、昔から文章を読むことには抵抗がなかったのですが、物語を読むのはあまり好きではなく、好んで読むのは図鑑などでした。
図鑑と言っても、いろいろなジャンルの本が出ています。
「ざんねんいきもの事典」や戦国武将系の図鑑など、物語性はなくても活字を読んで楽しめるものがたくさんあるので、ぜひ視野を広げて、子供にたくさん活字を与えましょう。
意外と難しいカードゲーム・ボードゲームの説明書(注意力アップ)
さて、次は問題文から細かい条件を読みとる力、注意力を鍛える方法について考えたいと思います。
持ち札を捨てた人が勝ち
プレイヤーは、最初に7枚ずつカードを持って、前の人の捨てたカードと同じ数字、または同じ色、または同じ文字のカードを捨てます。
捨て札と合うカードがなければ、残りのカードから1枚引かなければなりません。引いてきたカードが使えるカードの場合は、そのカードをすぐに捨てることができます。引いてきたカードが使えないカードだったら、次の人に順番が移ります。誰か一人が手持ちのカードを全て捨てられたら、その人の勝ちです。
でも、あがる前に
手持ちのカードが残り1枚になったら、すかさず「ウノ!(1という意味)」と叫ばなければなりません。
叫ぶのを忘れた人は罰として、カードを2枚引きます。UNO 取扱説明書より
だけど、ただ捨てるだけじゃない
5種類の文字カードで、順番を飛ばしたり、4枚も引かせたりといった攻撃を仕掛けることができます。さらに、あがるときも「ウノ!」と叫ぶのを忘れたのが、ほかの人に指摘されなければ、罰はありません。ルールは単純、攻防戦のハラハラ度は最高。それがウノです。
これはカードゲームUNOの取り扱い説明書に書かれたルールの説明です。
言わずと知れたUNO、皆さんも一度はやったことがあるのではないでしょうか。
私も小さな頃から家族で、親戚の集まりで、友達と…と幾度となく遊んだことがあります。
けれど、説明書通りに遊んでいたのではなく、誰かが教えてくれたローカルルールで遊んでいて、説明書を読んだことはありませんでした。
上で引用したのはUNOの説明書に書かれた「早わかりルール」であり、実際にはこの後に詳しく、はじめ方、カードの種類について、上がり方、計算方法…と続きます。
やってみると小さい子でも参加できる簡単なルールのUNOですが、説明書のまどろっこしさといったら!
そうなんです。ルール説明書は、どれもとてもややこしく書かれています。家電などの取扱説明書で同じことを感じる方も多いかと思います。
説明のための「持ち札」「山札」などの言葉の定義づけ、基本の流れと特別なカードが出たときなどの例外の説明、ゲームが終わってから勝者を決める得点の計算方法…
正しく読みとるためには頭をフル回転させる必要があります。
基本の流れ+多くの例外、という形の説明が多いので、ルール説明書を読みとる作業は注意力アップにぴったりです。
UNOの例では、順番に持ち札から1枚ずつカードを出すことが基本の流れであり、出せるカードがない時やドロー2など特殊なカードを出された時が例外です。
例外を見落とすことなく、読みとるという練習に最適です。
読みとった内容を元にゲームを始めると、ゲームの途中で、「この場合どうするんだっけ?」などと例外に出会い、読み飛ばしたことにも気付けます。
もしお子さんがゲーム性のあることが好きなら、この方法はとてもおすすめです。
昨今、ボードゲームやカードゲームは流行っていて、日本のものから海外のものまで、本当にたくさんの種類のものがあります。
ロフトなどはもちろん、イオンなどのお店、インターネットでも購入可能です。
ちなみに、我が家にあるゲームは
ブロックス、ナンジャモンジャ、海底探検、はげたかのえじき、キャット&チョコレート、ニムト、おばけキャッチ2、ドブル、人生ゲーム、ドラえもん日本一周ゲーム、ナインタイル、パンデミック、モダンアート…
などです。
気になるものがあれば、YouTubeで紹介している動画を検索して見てみてもいいですね。
大人も楽しめるゲームもあり、教育などの観点を抜きにしても普通に楽しいので家族時間におすすめです。
私は、説明書を読むのが本当に面倒なので(大人の脳トレにもなりますが…)
息子に「読んで説明してくれるなら、一緒にやってもいいよ」と言って読ませていました。
息子はゲームが大好きなので、張り切って読んでいました。
話は逸れますが…UNOの説明書を読むと公式ルールでは、ドロー2を出されてドロー2で反撃することができません。驚きです。
※定番のUNOも、今はいろいろなバージョンが出ているのですね。ポケモン、マインクラフトなど。
カードゲームやボードゲームはすごい(思考力アップ)
さて、カードゲームやボードゲームは説明書で注意力を上げるだけでなく、思考力アップにも一役買います。
オセロや将棋などが頭を使うイメージがあるように、完全に運で決まる少しのゲームを除いて、ほとんどのゲームには頭を使う要素があります。
自分がこうしたら、相手がこうするだろうから、勝つには…と考えるわけです。
適性検査の算数分野には謎のゲームが多く登場します。
その場でつくったようなルールに従って、小石を取り合ったりカードを裏返したりしてゲームを進行します。
ルールと状況を正しく読みとって、必ず勝つにはどうしたらよいか、などの問題に答えるのです。
実際にいろいろなゲームで遊ぶことは、このような問題を考えるのと良く似ているので、よい練習になると思います。
もし小さい兄弟がいる場合は、一緒に遊ぶ場合はどのようなハンディをつけたらちょうどよく遊べるか、など考えることで思考力を鍛えることもできます。
こちらは最近、我が家で購入したゲームです。いま小学生、幼稚園生の下の娘たちが好んで遊んでいます。
サイコロで遊ぼう(空間認識力アップ)
つぎに、適性検査の算数分野でよく出てくる立体に関する問題に必要な能力、空間認識力について考えます。
適性検査の問題には立体がよく登場します。
中でも本当によく出題されるのは立方体(サイコロ)です。6面が識別されていて表の数を見たら裏の数がわかる、というサイコロの特性によって問題が作りやすいのかもしれません。
展開図が出てきたり、転がしたり、鏡に映したり、あの手この手でサイコロの問題が出題されます。
これらの問題の対応策として、子どもの頃にできることは、大きめのサイコロを5、6個を与えて積み木のように与えるのがよいと思います。
同じ数字をくっつけて積み重ねたり、同じ向きで並べたり、裏の面の数字を考えてみたり、見えている面の数字を足してみたり、自然と自由に子どもは遊びます。
市販のものを買わなくても、工作用紙で展開図から立方体を作ってみるのもおすすめです。工作用紙は100均でも売っています。
違う形の展開図から同じ立方体ができることは、子どもにとっては興奮する発見です。図工好きなら楽しく参加してくれるでしょう。
小さい立方体をたくさん作ってテープで貼って立体を作っていったり、自分で数字を書き入れてサイコロを作ったり、遊び方は無限です。
他に、市販のおもちゃで空間認識力を高める遊びというと、よく言われているのは、レゴなどのブロック遊びですね。立体の見えない部分を想像する力を養えます。
マグフォーマーのような四角や三角のマグネットをくっつけるおもちゃも、展開図をイメージするのに大変役立つと思います。
積み木が付いているドリルもお子さんが興味を持ちそうならおすすめです。
幼稚園生の娘がハマっているドリルはこれです。
まとめ
以上、都立中高一貫校の適性検査で求められる能力を伸ばすために、低学年・幼少期からできることの中でも、読解力、注意力、思考力、空間認識力を上げることについてお話しました。
後編では、文章構築力、計算力、分析力についてお話ししようと思います。後編も是非ご覧ください!
受検生だけでなく、都立中高一貫校受検を考えている幼児・低学年のお子さんの保護者の方の参考になれば、嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント