都立中高一貫校受検のために、基礎学力を鍛える手段として、私立受験対策と同様の勉強をおすすめしています。
家庭での私立受験対策の勉強でおすすめなのは進研ゼミ中学受験講座です。
ですが、実際にすべてを全力で取り組むとなると、その勉強量の多さに挫折したり、疲れてしまったりするかもしれません。
この記事では都立中高一貫校受検の対策として、進研ゼミ中学受験講座を受講したものの、ちょっと負担が大きいと感じている方に向けて、省ける部分についてご説明したいと思います。
無理なくできるならすべて勉強すればよい
まず初めに断っておきたいのは、都立中高一貫校の受検に直接役に立たなくても、勉強したことが人生において意味がないということはない、ということです。
これから説明する通り、都立中高一貫校受検に使わない部分はほとんどが暗記を必要とする部分なのですが、それらは中学の勉強の先取りも多いので、中学での勉強の理解を早くし、より深い学習に繋げます。
また、ここで身につけたものは大人になると教養と呼ばれるものになります。
話のタネや何かを考えるときの土台としても活かせます。
低年齢で身につけた知識というのは、なぜか記憶に残っているものです。社会人になっても残るものも多いでしょう。
スマホで何でもサクッと調べられる時代に暗記して得る知識は必要ないという見解もありますが、学んだことから興味は広がり、この先の長い人生での思考の基盤にもなるので、頭の中に入っていて損をすることはないと思います。
ですので、取り組めるようならすべて取り組むのは良いことです。クイズのように暗記に楽しく挑戦できる場合は、気の向くままに学習すれば良いでしょう。
ですが、イヤイヤながら無理やり詰め込む学習は小学生には負担が大きいのではないか、と心配になることもあるかもしれません。
私立受験用の勉強は量、質ともに重すぎる…
中学受験講座をすべてしっかりと取り組むのはとても大変です。特別負担に感じるのは以下の2点についてかと思います。
暗記量が多すぎる
中学の私立受験を経験したことがなければ想像しにくいかもしれないので、突然ですが、ここで問題を出してみましょう。
第1問:次の2文の「大きな」「きれいな」について、それぞれの品詞を答えよ。
・大きな部屋だ。
・きれいな部屋だ。
第2問:日本の主な石炭輸入相手国を2国答えよ。
第3問:無はい乳種子において、発芽に必要な養分を含んでいる部位の名称を答えよ。
上の例題は私立受験用の勉強から、暗記の多い国語、社会、理科の分野から1問ずつ適当に選択したものです。
どうでしょうか?
「こんな用語全然覚えてないなぁ。」「そんな細かいことまで覚えなきゃいけないの?」という感想を抱きませんか?
私立受験用の勉強は、とにかく覚える量が多い、苦手な科目については用語の意味を理解するだけでも困難、というのが私の感想です。
高校からの学習と異なり、科目は選択制ではないため、覚える範囲は多岐に渡ります。
国語では、漢字、四字熟語、ことわざ・慣用句、対義語、敬語、詩の技法、品詞の分類など…
社会では、野菜生産量の都道府県ランキング、川の名前、日本史の年号、歴史上人物の漢字、選挙の仕組み、国連組織の略称、サミット開催など…
地理、日本史、公民、時事すべてが範囲に含まれます。中には受験する年度に起こった時事問題も出題されることもあり、新聞をチェックする必要もあります。
用語の意味がどのようなことなのかを理解するだけでも大変なのに、暗記までするわけです。
理科では、二酸化マンガンに過酸化水素水を加えると何ができるか、植物部位の名称や合弁花にはどんなものがあるかなどの植物の分類、昆虫の生態、岩石の種類など…
化学、生物、地学の分野については暗記も多いです。
この暗記系の学習について、私立中学受験生はどう対処しているか、というと、まずは用語の意味や出来事の流れの理解、その後はひたすら暗記です。
進研ゼミ中学受験講座でも暗記強化のために「要点復習スピードCHECK」「ズバピタ」などの特別教材が用意されています。これらは赤シートを使って用語を隠し、暗記練習ができる教材です。このような教材を使って、繰り返し暗記するしか方法はないと思います。
[上の問題の答え] 第1問 「大きな」…連体詞 「きれいな」…形容動詞 第2問 オーストラリア、インドネシア 第3問 子葉
算数・理科が難しすぎる
暗記量とともに、もう1つの問題として挙げられるのは、理系科目の難しさです。
天秤や滑車のつり合い、電気回路、月の満ち欠け、地層など、物理や地学の分野は、理系科目が苦手なら大人でも難しく感じる問題も多く出題されます。
また、算数の分野でも、方程式を習っていないのに変数が複数あったり、数列の規則性を探したり、図形に補助線を引いたり、ひらめきも必要な難易度の高い問題が出題されます。
これらの問題は、学校で習う内容だけではまず解けません。解き方を知らないで1から思い付けるとしたら、それはかなりの能力です。
ひらめきや工夫を短時間で思い付けない普通の学習者は、類似問題を経験して記憶した解法を頼りに解くことが必要です。
ある程度定番と言われる問題が存在するので、それらを勉強をして解き方を理解し、暗記するような勉強法になります。
算数では特殊算(つるかめ算、ニュートン算など)、面積図などを使った解き方を理解し覚えて、活用して解く、というわけです。
最難関校では暗記した内容からさらに思考力を駆使して問題を解くのだと思います。
適性検査対策として省けることはないか
上記の理由から少し勉強量を減らしたいと考えたとき、都立中高一貫校の受検に照準を絞って省略できる部分はないかを考えてみましょう。
一般的な対策では中学受験講座はすべて不要!?
続けることが辛くなったとき「そもそも、私立受験用の勉強など、すべて不要なのでは??」と考えてしまってもおかしくありません。
都立中高一貫校の適性検査で必要なのは、知識ではなく、読解力、作文力、計算力、思考力、考察力、分析力です。
都立中高一貫校の適性検査では問題文で与えられていない用語や出来事などを答えさせる問題は出題されません。
解くのに必要なものは問題文で与えられた情報のみです。(三角形、円の面積の求め方など一部の基本的な公式は暗記が必要です)
そのため、一般的な適性検査対策では私立中学受験と違った勉強法が選択されています。理科や社会の細かい事象については全く勉強せず、適性検査の類題を解く勉強法です。この勉強法では中学受験講座は必要ありません。
けれど、私としては、中学受験講座を受講して学習に取り組む勉強法をおすすめしたいです。
その理由をこれから説明します。
一般的な学習法だけでは心もとない
知識を増やすのではなく、読解力、計算力、思考力、考察力、分析力を上げようと考えたとき、いったい何をすればよいでしょうか?
例えば、思考力とは自分の頭でしっかり考える力です。
適性検査の問題は普段の生活の中で起きる状況に近いものを題材にした問題が多いです。
普段の生活で、問題が生じたら何か工夫できないかとあれこれ考える、疑問が生じたときに原因についてあれこれ想像してみる、結果を予想しながら予定を立てていくなどの体験の積み重ねによって思考力はつきます。
したがって、適性検査で必要な思考力を鍛えるためには普段から思考することを意識して生活する、というのが最良の対策です。そして、これは短期間で簡単につく力ではないため、長期的に取り組むことが望ましいです。
けれど、思考することを意識して生活する、というのは非常に曖昧で、実行に移しにくいです。
同様に他の能力について考えても、対策は漠然としていて、子どもに継続的に実践させることが難しいです。
そこで、一般的には実際の適性検査をたくさん解くのがセオリーになるわけですが、6年生の受検生が解く問題しか出回っていないため、4年生の段階ではなかなか解けないのです。
また、基礎問題→応用問題という流れで解くわけではないため、「前にも解いたからできる!」という手応えが得られません。
問題を解けば解くほど、問題形式に慣れることはできますが、内容としては常に新しい問題と向き合う感覚なので、「前の問題はできてもこの問題はできない!」という場面も多く、成長実感を得にくいです。
長期に渡り、階段状の成長を感じられない訓練に取り組むのは大人でもメンタル的に辛いものです。
さらに、戦略的な観点から考えても、5.6年生時に適性検査の類題を解くという学習だけでは、他の受検生と差がつかず心もとないのです。
中学受験講座を学習すれば、結果的に必要な能力が上がっている
さて、一方、私立受験用の問題は丁寧に難易度で分けられていて、数も充実しているので、基礎問題→応用問題という流れで勉強できます。一問一問が短いという点においても演習には適しています。子ども自身が成長を実感しやすいです。
学習内容が適性検査と完全に重なることはありませんが、長文読解や計算演習、基本公式の確認は、適性検査にも直接役立ちます。読解力、計算力を養うにはもってこいです。
理科や算数での難しい問題を通して考える体験をし、多くの解き方を知ることで問題解決への道の作り方を学びます。社会での様々な社会問題に触れることは身の回りの事柄と社会とのつながりを考えるきっかけとなり、問題提議から解決を図る流れを知る学習となります。
中学受験講座の学習することで、結果的に、思考力、考察力、分析力が養われています。
また、まだ学校では習っていないことをテキストから読みとって理解するということ自体が、初めて出会う情報を整理しなければならない適性検査の類似体験となります。
さらに、都立中高一貫校受検においてもう一つの大きなおすすめポイントは、報告書の得点アップも図れるという点です。
私立受験用の勉強は学校の勉強と重なっているので、学校のテストの得点は間違いなく上がります。
受検とは関係ありませんが、中学校での学びの先取りや土台となるので、進学後の学習にも活かすことができます。
暗記を省略し「用語の意味、出来事の流れ、解き方の理解」は行おう
上の項で述べたように、私立受験用の勉強ではどの科目も「(用語の意味、出来事の流れ、解き方の)理解」→「暗記」という流れで勉強します。
大変なのは重々承知ですが、私としては、中学受験講座の「暗記」の部分だけを省略し、「理解」の部分は行うことをおすすめしたいです。学習に取り組むことで結果的に適性検査で必要な能力が上がります。
主に負担を感じる点2つのうちの1つである「暗記」は全面的に省いて良いです。
適性検査でも使う円の面積や体積などの基本公式は、これでもかというほど計算に使うので、わざわざ暗記しようと思わなくても絶対に身に付きます。
もう1つの点、難しく感じる算数と理科については、自力で解くことはできなくても、解き方を理解する程度には学習しておくと、思考力や考察力を鍛えられるので頑張ってみましょう。
まとめ
私立受験用の勉強が量、質ともに負担が大きいために何かを省きたいなら、「暗記」の部分を省略し、「用語の意味、出来事の流れ、解き方の理解」を行うのがおすすめです。
中学受験講座をやり始めたけど、知らないことも多いし、覚えられないし、難しいし…挫折しそう…
↓
もういっそ全部やめて、適性検査の勉強だけでいいかな?
↓
適性検査で必要な能力は一朝一夕で身につくものではないので4年生からコツコツと始めるのが得策!
膨大な量の暗記を省くだけでも、負担は大きく減らせます。全部を止めずに、頑張って続けましょう。
記事が長くなってしまったので、これを踏まえた具体的な進研ゼミ中学受験講座の進め方についてはまた違う記事でお話したいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。少しでも塾なしで都立中高一貫校の受検を考えている方のお役に立てたら嬉しいです。
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