この記事では、通称銀本と呼ばれている「公立中高一貫校適性検査問題集 全国版」の使い方について、我が家が取り組んだ方法を紹介したいと思います。
分厚い問題集を前に戸惑っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
銀本紹介の記事でもお話しした通り、銀本には使いにくい点があります。
銀本についての記事はこちら→銀本とは?必要?公立中高一貫校適性検査問題集 全国版について
今回は、以上の点に対する対策法を含めた、我が家なりの銀本の使い方をご紹介したいと思います。
都立と出題傾向が似ている学校を選ぼう
この問題集は全国版ですので、北は北海道、南は沖縄まで、日本全国の公立中高一貫校の問題が載っています。
限られた時間の中で初めからすべての問題を解こうとしても、都立受検にとっての良い対策とは言えません。同じ公立でも、それぞれの都道府県、学校によって、出題傾向が異なるからです。
都立と出題傾向の似た学校の問題を選んで解きましょう。どのように選べばよいのかを説明する前に、以下の2点を断っておきます。
- 志望校の過去問は銀本では解きませんでした
- 適性検査Ⅰ(作文対策)については他の記事でお話しします
志望校の過去問は、本番さながらの状況を作って通しで解き、時間配分などを体験したかったので銀本では解きませんでした。銀本はたくさんの問題を解くための問題集として使用しました。
もし同じように、過去問は過去問で解きたいとしたら、都立中高一貫校が志望校の場合、東京都の共同作成問題も解いてはいけません。都立中高一貫校の問題には必ず複数問の共同作成問題が含まれています。
志望校の過去問を何年も遡って解きたい場合は志望校の過去問題集を別に購入して解きましょう。また、各校の説明会で前年度分の実際に本番で使用する問題用紙、解答用紙がもらえます。前年度分はそれを使って解くと良いです。余白の具合や、解答用紙、ページの配置の感じなどをつかむことができます。
また、作文の対策でも銀本を使いましたが、これはまた別の記事で作文対策としてまとめて紹介したいと思います。
都立と出題傾向が似ている学校
銀本はとにかく問題数が多く、保護者もすべてに目を通すのは大変です。
私もすべてしっかり確認したわけではありません。まずは他の問題集に過去問が載っている学校や首都圏の学校などを中心に解かせました。
それでもまだ少し時間的に取り組めそうだったのでパラパラと見て問題を選び、少しずつ増やしました。1校を全問解くことにはこだわらず、これはと思ったものをピックアップして解かせました。
判断基準として考えたのは以下の観点です。
参考までに、2021年度版から私が選んだ学校は以下の学校です。
★★★ …とてもおすすめ ★★…おすすめ ★…まあまあ
(用紙アリ)…ホームページ上に解答用紙があった学校です。 (2021年度時点)
( ★の学校についてはほんの一部解いただけなので用紙については調べていません。各自検索してみて下さい。)
ちなみに、表で(用紙アリ)の学校は問題も掲載しています。(問題はあるけれど解答用紙はない学校はあります)
したがって、銀本を買わずにホームページに掲載されている学校の問題を全て解く、という方針もアリだと個人的には思います。
3年度分掲載している学校もあり、問題数としてはかなりの問題数を解けるでしょう。
解答用紙を用意しよう(各校のHPから印刷・なければ自作)
さて、解くべき学校の目処を付けた所で、これからは具体的にどのように解かせたのかをお話します。
ここで、気になるのは銀本のままでは字や図表が細かいという問題と、解答用紙がないという問題です。
字や図表が細かい点は我慢してもらう
銀本は実物の問題用紙と比べると、字が小さく、全体的にコンパクトに収まっています。
(適性検査Ⅰに該当する国語分野では特に)
これはお子さんが気になるなら拡大してあげたいところですが、厚いため本を分解しないときれいに拡大コピーはできそうにありません。
もし気になるなら、前年度分をダウンロードできる学校もあるので、各校のホームページを調べてみても良いです。
印刷するとページ数が多く、管理しきれなくなりそうだったので、私はそのまま解かせました。
コンパクトに収まっている方が、全体像が見やすく、もしかしたら解きやすいかもしれません。
(本番はページをめくりながら解くことになるので、実践練習が別途必要です)
解答用紙がないのは大問題
対して、解答用紙がないのは大きな問題です。
大人の私たちは、「そんなのノートに解けばいいんじゃない?」と思ってしまうかもしれません。
けれど、子どもが適性検査を解くにあたり、解答用紙がないことは想像以上に大問題です。
1つ目の字数についてですが、適性検査では、国語の問題でなくても、「○○字程度で説明せよ」などと字数縛りのある問題が多く出題されます。マス目があるといちいち文字数を数えなくて済む(それだけ取り組める問題数が増えます!)だけでなく、解答者は無意識にマスの数を視覚で確認しながら、そろそろまとめよう、などと文を構成していくので、マスがないと解き方自体にも影響が出てしまいます。
2つ目の図に書き込む問題については、銀本の図に直接書き込んでしまうと解き直しができなくなります。
3つ目の解答用紙には正しい答え方を知るヒントが含まれている場合がある、というのは少し分かりにくいかもしれないので、例をあげてみます。
例えば、「ミカンとリンゴのどちらか好きな方を選んで、表からわかることを述べなさい」といった問題があります。
この場合、解答用紙には
選んだ果物[ ]わかること[ ]
といった具合に2つの欄が用意されています。
この解答用紙によって、ミカンとリンゴのどちらか1つを選んで、選んだ1つについてのみ答えればよい、ということがはっきりと確認でき、安心して問題に取り組めます。
適性検査では、長文の流れの中で問題が出現し、問題自体も分かりにくいことも多いため、何を答えるべきなのかの解釈自体に不安を覚えることも多いので、解答用紙の欄が想像以上に手がかりとしてありがたいものなのです。
以上が、できることなら解答用紙を用意したい理由です。
というわけで、解答用紙を用意してあげましょう。
どのように解答用紙を用意するかというと、2つの方法があります。
前年度分(学校によっては数年分)の解答用紙をホームページ上に掲載している学校もあるので、解きたい学校のホームページをチェックしてみましょう。グーグル検索で「学校名 過去問」と検索するとトップに公式ホームページが出てくるのでそこからアクセスすると良いです。
残念ですが、ホームページに掲載されていない学校の解答用紙は自分で作るよりほかはありません。
といっても、我が家の場合は不要になった紙の裏に手書きでマスを書く、というお粗末な物でした。お子さんの性格にもよるとは思いますが、所詮家の中で使うものですし、志望校の過去問や印刷した解答用紙、模試などで本番の様式は慣れることができるので、見映えはそれほど気にしなくても良いと思います。
パソコンが得意な方はパソコンで作成してもよいでしょう。
大切なことは問題番号を間違えないこと、字数制限のある場合はマスを用意すること、図をかいてあげる(複雑な場合は印刷して貼付する)こと、適度なサイズ感にすることです。
志望校の過去問題集などで、実物の解答用紙を見て、参考にするのも良いです。
適性検査は自由記述が多く、自由記述は枠を作るだけですが、サイズ感が重要です。模範解答も入らないような小さな枠ではもちろんダメですし、あまりに大きいと、「もっと書かなくてはいけないのかな…?」と不安になったり、まとめずにダラダラと答えてしまうかもしれないので、模範解答を見て、大きさの目安として作りましょう。
解く前に誤植がないか確認しよう
銀本は都立の受検日から5カ月後ほどして出版されます。
全国のデータを集めて編集するのにタイトなスケジュールであるためか、(もしくは学校が発表する時点でミスがあるのかもしれません)問題集ではあまり見られないような、致命的な誤植がある場合があります。
そのため、誤植のせいでどうしても解けないで息子が焦る、ということが我が家では起こりました。
ミスが見つかり次第、みくに出版のホームページで更新されるようなので、お子さんが解く直前に確認してあげるとお子さんに混乱させずに済みます。
確認するには「みくに出版 訂正」とグーグル検索するとよいです。
一度解説のついた問題集に目を通してから、丸付けよう
銀本には別冊子で「解答」が付いてきます。その解答は各校が発表している解答例です。
解説はありません。これは丸付けを行う保護者の立場からすると、大問題かもしれません。
ですが、実はどの過去問題集でもそれほど変わらない状況といえます。
適性検査では、答えが複数考えられるものや、立式の根拠やグラフから読み取れることを自分の言葉で説明する問題が多いため、解説があっても、お子さんの書いた答えが満点なのか、どこがどれほど減点対象なのか、は正直よくわかりません。
どの解説も、問題の正しい解き方は示してくれますが、採点基準のようなものは載せてくれていないからです。
おそらく問題集を作る方や塾の講師の方も、学校が発表した解答例をもとに、ポイントがどこなのかを分析しているのだと思います。ただ、実際にどのように点が付けられているのかは、神のみぞ知る(各校の先生のみぞ知る)のです。
例えば、「あなたの考えを述べよ」という問題に対して、少し独特な考え方でも論理的に説明できていればOKなのか、説明が下手でも考え方が読みとれさえすればOKなのか、といった細かい点は、わからないのです。
お子さんが解答例と一言一句同じものを書けるはずもないので、丸付けは骨の折れる作業ですが、上でも述べたように完璧な丸付けは不可能だと諦めた上で、できる範囲で丸付けを頑張りましょう。
参考までに、私の丸付けの方針を紹介します。
私は銀本を解く前に「思考力で合格!」 「分析力で合格!」 「考察力で合格!」という問題集に取り組んでいて、解説を読んでいたので、 少し丸付けがしやすかったです。
どのような視点で丸付けすればよいのかを考えたり、適性検査の問題形式に慣れるために、解説の付いた問題集を読んで予習しておくと銀本の丸付けがスムーズに進められるかもしれません。
丸付けをする上での細かい視点については、また別の記事で紹介できたらいいなと思います。
まとめ
以上、この記事では銀本の取り組み方について、お話ししてきました。
銀本を上手く使ってたくさんの問題を経験させてあげられると良いですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。少しでも塾なしで都立中高一貫校の受検を考えている方のお役に立てたら嬉しいです。
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