進研ゼミ中学受験講座で基礎学力を鍛えたとしても、都立受検で立ちはだかる大きな壁は適性検査Ⅰの作文です。
息子は夏休みの読書感想文を3行書くのにも3日ほどかかるほど作文が苦手でした。
私自身も小論文などを学んだ経験がなく、このブログも遅筆でなかなか更新できません。
そんな作文が苦手な私たち2人が、悪戦苦闘した結果、4ヶ月でなんとか合格点まで持っていくことができました。
この記事では、私たちと同じように作文が嫌で仕方ないという方に向けて、我が家で行った適性検査Ⅰの都立共通問題の短期集中対策を紹介しようと思います。
素人が考えたその場しのぎの対策なので、作文が得意な方にとってはおそらく無益な内容ですが、私立受験用の勉強だけをしている方にも参考になるかと思います。
作文が苦手でもなんとかなったよ!という体験談を紹介することで、少しでも作文嫌いの方のお役に立てれば幸いです。
作文が書けない!焦った小学6年生の10月
都立の適性検査に作文があることは知ってはいたものの、息子が受検にそれほど前向きでなかったため、当初は実力で受けるだけ受けてみればいいと思っていました。
ところが、学校説明会に行ってから急に息子が受検に前向きになり、都立の試験対策に励むこととなりました。
そして、とりあえず過去問を解いてみようという段階になって初めて「このままでは作文がまずい!!」と気付いたのです。
それは、小学6年生の10月でした。
それからの4カ月弱。作文嫌いの私たちは作文三昧の日々を送りました。
もっと前から作文対策をしておけば良かったのですが、
- Z会の受講講座を間違っていたこと
- 受検という目標がなければやる気になれないほどの作文嫌いであること
から、このような短期集中対策になりました。
まったく良いお手本ではありませんが、短期間でもどうにかなった、という例として参考となれば幸いです。
都立共通適性検査Ⅰの作文に必要な技能は大きく分けて3つ
都立共通適性検査Ⅰの作文に必要な能力は大きく分けて3つだと私は考えています。
原稿用紙を正しく使う力・読解力・文章作成力です。
この能力を上げる方法について1つずつ考えていきましょう!
原稿用紙を正しく使う力:Z会の付録を使って原稿用紙の書き方のルールに慣れる
せっかく文章が書けても、原稿用紙を誤って使ってしまうと減点されます。
原稿用紙の使い方とは、段落の初めは1マス空ける、などの形式です。
本番の検査には形式の条件が詳しく書かれているので、覚える必要はありませんが、基本は毎年ほぼ同じなのでいちいち確認して時間をかけるより
慣れていた方が断然有利です。
小学5年生から息子が受けていたZ会の作文講座(受検用ではない講座)では「作文スタートブック」という原稿用紙の使い方がまとめてある冊子が付録として届きます。
小学6年生からのZ会の「公立中高一貫校用作文6年生」を受講すれば、同じ冊子が届くので、これをもとに課題を提出すれば、原稿用紙の形式については、着実にマスターできます。
(息子が受けていたのは都立受検用ではない講座です…この講座は、1か月かけて準備をして、しっかりとした構成の作文を1枚書く、という一般的な作文を書くための講座です。この講座で息子の文章力が上がったかどうかは疑問(教材は良いものですが、やる気がいまいちでした)ですが、原稿用紙は正しく使えるようになったと思います。都立中高一貫校受検を考えている方は「公立中高一貫校用作文6年生」を受講しましょう。)
読解力:長文問題をたくさん解く
都立共通適性検査Ⅰの初めの2、3問の小問は、読解力で解く問題です。
また、作文といえど、自由作文ではありません。長文を読み、短時間で要旨を読みとる能力が重要です。必要な能力の半分は読解力だと考えてよいでしょう。
ただし、進研ゼミ中学受験講座を受講し、コツコツと学習していれば、適性検査で必要な能力以上の読解力はついています。なぜなら、長文を嫌というほど読んでいるからです。自信を持って挑みましょう。語彙力、漢字の読み書きなども全く問題にはならないです。
塾などで私立受験を目指して学習している方もこの能力はしっかり培われていると思います。
文章作成力:最大の難所です。とにかく書いて書いて、慣れましょう
どんなに十分に読解力があったとしても、文章を構築する力がなければ、小問の得点のみ(10か20点程度)になってしまうのが適性検査です。
適性検査の最大の特徴は400字強の作文と言えるでしょう。読み解いたことを400字強で表現しなければなりません。
進研ゼミ中学受験講座の国語でも記述問題はありますが、長くてもせいぜい100字程度です。
400字強というのは、慣れていない子どもにとってはとても長く、何から書いていいのかもわからないものです。
解答用紙はマス目のある原稿用紙の形式になっているので、書き出したら書き加えたり、削除したりすることは難しく、書き始めるだけでも躊躇されます。
息子は、10月の段階では時間内に書き終えることはありませんでした。それどころか、書いては消し、書いては消し、最終的に5行ほどしか書けていないこともありました…
息子が作文を書けない理由は、大きく分けて3つ。
だと感じました。これに対してどうしたら良いのかと考えて私が出した答えは、
課題 | 対策 |
---|---|
何から書くべきか、どういう流れで書くべきかがわからない | 書きやすい定番の型を作る |
自分の意見を書くことに躊躇い、恥ずかしさがある | とにかく書いて書いて書いて、書き慣れる |
「てにをは」の間違いや誤字脱字が気になる | 書き切れないよりはまし、と思って気にしない |
です。
本番で作文を書き終えるためには書き慣れることが1番です。Z会の「公立中高一貫校用作文6年生」を受講するのも良いです。添削してくれるのでどのように書くのが正しいのかが分かるという点でとてもためになると思います。
ですが、作文が苦手な場合は書き足りないと思うので、さらに自宅でどんどん書きましょう。
Z会の作文講座が気になった方は、以下のリンクから「小学生コース(3~6年生)」→「目的別講座」→「公立中高一貫校用作文6年生」を確認してみてください!
Z会 小学生向け講座我が家で行った作文対策
上の書けない理由をもとに、我が家が行った具体的な対策は以下のものです。
まずは私が過去問題集の模範解答から、大体の流れ(何についてどのくらい字数を使用しているのか)を分析し、ひな型にしました。
(このひな型に興味があれば別の記事を参考にして下さい→「都立中高一貫校受検【作文】書きやすい流れ・エピソード例について」)
次に、このひな型の中の自分のエピソードを盛り込む部分のために、あらかじめ書きやすいエピソードを何個も挙げておく作業を行いました。
息子はエピソードを思い付くのが非常に苦手だったので、事前に使えそうなエピソードを用意しておくことにしました。
(用意したエピソードについても別の記事に詳しく書いたので、興味があれば参考にして下さい)
そして、これらを使って、ひたすら息子は作文を書きました。
そうすることで、11月の模試では最後まで書き切ることができ、高得点ではなかったものの、他の検査の足を引っ張ることはありませんでした。
とは言っても、まだまだテーマによっては全く書けないものもあったので、その後も2日に1回のペースで400字程度を書く、修行のような日々を送りました…
原稿用紙はノートになっているものを使いました。
作文を書く上で意識しておきたいこと
条件を制するものが作文を制す
都立適性検査の作文では問われていること自体はシンプルです。
「あなたにとって『読書があたえてくれるもの』とは何ですか?」「人が何かを伝え合うときには、どのようなことが重要だと思いますか?」などです。普通に答えようとすると、100字程度で答えられると思います。
しかし、この質問に、字数制限や形式上の注意だけでなく、かなり多くの条件が付きます。
「3段落に分けて、1段落目には○○、2段落目には○○、3段落目には○○を書く」
「読んだ文章の筆者の考え方を踏まえて」
「自分のエピソードを入れる」
「考えを1つにしぼる」
などです。
これはつまり、自由度が低い、ということです。作文が苦手な多くの子にとっては朗報ではないでしょうか。
逆に自由に書くのが得意な場合は、縛られて書きにくいと感じるほどかと思います。
条件を注意深く読み、逸脱しないことが大事です。条件も問題の一部だと考えると良いです。
また、2020、2021年度はさらに条件が多く、自由回答が減った印象でした。2022年度は割と自由に戻っていましたので、どちらのパターンにも対応できるようにしておくと良いですね。
とはいえ、最も大切なことは聞かれたことに答えること
条件に従うことは大切ですが、そればかりに気をとられていると、落とし穴にはまります。
質問にはしっかりと答えなければなりません。
そんなの当たり前じゃないか!?と思いますよね?…ですが、これが意外と答えられないものなのです。
例えば、「明日何時に家を出る?」と聞かれたときに、「7時半だよ」というのが答えです。
ところが、理由を説明しようとすると、「明日は外勤だからいつもと違う場所に集合で、雨で自転車も使えないからバスで行くでしょ。いつもより30分早く出るかな。」などと、曖昧な答えになってしまうことが日常でもあるのではないでしょうか?
「で、何時?」と聞きたくなりますよね。
これと同じことが作文でも起きます。条件が多く、書かなければならないことに注意して文を作ると、聞かれたことに対する答えが曖昧にしか示せていないことがあるのです。
おそらく大幅な減点に繋がるので、聞かれたことにはしっかりはっきり答えましょう。
これに対して私は、問題にある文章をそのまま繰り返してしまうのが一番の対策だと思います。質問にはしっかり答えましたよ、というアピールです。
「○○について、あなたが大切だと思うことは何ですか?」という問いだとしたら、「私が大切だと思うことは○○です。」という文章を入れるということです。
文章としては稚拙な印象は受けるかもしれませんが、大幅原点は免れるかと思うので、そこはこの際目をつむりましょう。
都立と傾向が似ている問題を選んで解く
全国の公立中高一貫校の問題には、読解もなく、完全な自由作文の形式の出題もあります。
『「座右の銘」について書いてください』などというシンプルな問題を出題する学校があるのです。
ですが、都立共同作成問題の対策としてはこの問題形式を解いてもあまり意味がありません。
文章を読んで答える問題、400字程度の作文がある問題を選んで解きましょう。
「作文力で合格!」では一部を除きほとんどの問題が都立の問題と類似しているので、やり応えがあるかと思います。
我が家は時間がなかったので取り組みませんでしたが、「作文力で合格2!」もおすすめです。
銀本を購入した場合は、類似問題を選んで10問程度は解けるかと思います。
銀本については別記事で紹介しています。ご興味があればこちらも参考にしてみてください。→「【解説】銀本の使い方・都立中高一貫校と似た出題傾向の学校」
丸付けするときのポイント(我が家の場合)
作文の丸付けなんてできない!と思う保護者の方も多いのではないでしょうか。私もまったくそう思います。専門家でもないし、基準も知らされていないのです。
Z会の「公立中高一貫校用作文6年生」を受講すれば、添削をしてもらえるので、返却された作文を参考にするのも良いですね。
我が家の場合、受講講座を間違えて受講できなかったので、私がなんとか丸付けをするしかありませんでした。
自宅学習では保護者が丸付けしなければ、やりっぱなしになってしまいます。それでは子どもはやり甲斐を感じないためだんだんと手を抜いてしまいそうです。どんなに下手な丸付けでも、しないよりはまし!と励まして頑張ってみましょう。
私が考えた丸付けしたときのポイントを紹介するので、もし良かったら参考にして下さい。
①形式について、まずチェックする
段落の数が合っているか、段落の初めが1文字空いているか、字数が範囲内かなどをチェックします。
丸付けの中でもこれは正誤がはっきりとわかるので簡単な作業です。
問題に書かれた条件と形式が合っているか、条件を確認しながら行いましょう。
②問われていることについて、はっきり答えられているのかをしっかりチェック
チェックすべきは、内容はともかく、問われていることについて答えているか有無かです。
前述した通り、意外と問いに対する答えがぼんやりとしたまま作文を終えてしまうことは少なくありません。
問題に対して答えているということが読み手にしっかりと伝わるか、チェックしましょう。
③すべての条件を満たしているかをチェック
形式ではなく、「主張は1つだけ」「自分のエピソードを入れる」などをチェックします。
まずは、条件通りに文章を挿入できているか有無か、です。
主張が適しているかどうか、正しいかどうかなどはさておき、条件を読んで正しく答えているかをみてみましょう。
④最後に内容をチェック
正直、内容の優劣や配点は分からないので、後回しにしてきた内容についてを最後にみてみます。
問題文の要旨などは解答例や実際の長文を読んでみて、余りに逸脱していなければ良しとしましょう。
自分の意見、エピソードとの関連性、根拠の説得力…などは、求めるとキリがありません。
また、私の場合は厳しく指摘するスキルも持ち合わせていませんでしたので、甘い目で見て、それなりに書けていればOKとしました。
息子は書き終えただけでも賞賛に値するレベルだったので、少し難があっても花まるをあげました。
問題集の解答例のような作文なんて書けるわけがない=文章の上手さは気にしない
問題集には解答例が載っています。『作文力で合格!』には実際の受検生が書いた作文が例として載っています。
その上手さを目にすると、自分の子どもの作文でどれほどの点数がとれるのか、と不安になります。
作文が苦手な子にとって、400字強書くということはとても大変な作業です。
時間をかけて作るレポートと違い、適性検査は時間との勝負でもあります。
従って、条件を満たし、しっかりとした考えを示しつつ、引き込まれるような説得力のある文章、流れるような自然な文章を小学校6年生が書けたら、それは本当にすごいことです。
そんな完璧を求めてはいけません(笑)
受検直前になっても、息子の作文はどんなに甘くみても上手な作文とは言い難いものでした。
そんな息子の文章で6割とれていた模試や本番の結果を考えると、おそらく私たちが思うよりも平均的な小学校6年生の表現力というのはそれほどでもないのだと思います。(学校などで選ばれる読書感想文などを読んだりすると、つい小6でもこんなに上手いのかと思ってしまうけれど、選ばれた子はやはり特別に上手なのでしょう)
というわけで、文章のうまさは目をつむるのが最善策だと思います。
「てにをは」の間違い、主語と述語の不適合、接続詞の選択ミス、誤字脱字なども多いですが、読んだ時に言いたいことが伝わっていれば良しとします。赤字で指摘は入れるだけで、あまり細かく言わない方が良いかもしれません。作文する意欲が落ちる方が怖いです。
ただし、添削が加えられないほど言いたいことがわからない場合は注意が必要です。
音読させて、自分で間違いが直せるようなら直させ、無理なら正しい文章を書いてあげます。
何度も書いて、自分で書いたものを読み直す作業によって、改善されていくので、書けたら良しくらいの大きな気持ちで丸を付け、どんどん書かせましょう。
まとめ
作文が苦手でも時間がなくても諦めずに取り組めば何とかなる。
都立共通適性検査Ⅰの作文に必要な技能は原稿用紙を正しく使う力・読解力・文章作成力。
我が家で行った対策は、ひな型を作る、作文に挿入しやすいエピソードを用意する、とにかくたくさん書く。
書く上で1番大切なことは質問にはっきり答えること。
以上、作文が苦手でも短期集中の対策で合格点まで上げることができたので、参考になればと記事にしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。少しでも塾なしで都立中高一貫校の受検を考えている方のお役に立てたら嬉しいです。
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